離婚届を機械に急かされる

離婚届に判を押せ。そう妻から突きつけられたのは、数時前。だが依然拒み続けている。「何故拒む?今更」淡々と話す声に苛立ち。

「五月蠅い。貴様に指図される覚え等無いわ。離婚届、書く事が面倒!」酒瓶を掴みぐっと飲む。

「では貴方の筆跡通り私が署名、判を押しましょうか?」相変わらず癪に障る事ばかり言う。

大体、「私は貴様のなんだ?マスターだ!愛し続けねばならん義務がある。マヌケ、出来損ないめ!」

怒鳴る私に対し、彼女は冷静な声で「申し訳ありません、契約者が規定に反した行為、此方へ危害が及んだ場合、アンドロイドは契約条件を一切反故にする権利有り。契約条項第678」

「うるせー」胸ぐらを掴み吠え、「離婚届だと?機械風情が人間のつもりとはな!永遠にペット扱いで十分さ!」禁句ワードを次々と並べ立てる。

「お分かりと思います。貴方は暴力性が強く、他者を見下し手を上げ、これ以上居ると自分自身が破壊される恐れ―」「じゃ今破壊すっぞ」吐き捨て、離婚届も破棄。